⑮不登校の時の私立全日制高校受験
⑮不登校の時の私立全日制高校受験
毎年12月は、受験する私立高校を決定しなければいけない大切なタイミングですね。(現在2019年12月)
ここでは、3年生に不登校で欠席の多かった場合の愛知県の全日制私立高校受験についてお話します。
不登校の生徒を受け入れる私立高校はいくつかあり、また少しずつ増えてきています。
その話の前に私立高校は一般的にどんな性格があってどんなことを考えているか述べます。
公立高校は都道府県ごとに一律(共通)の制度になります。
それに対して、私立高校の受験は、1校が都道府県にあたる、つまり各高校ごとにそれぞれ方針があって、それに合わせた入試制度がある、ということになります。
私学協会という連絡機関はあって、ある程度の申し合わせをしますが、協力しながら競合している、と言っていいと思います。
私立は、公立に比べると、シビアな面つまり経営という要素も多めになります。そのため生徒募集は重要です。
自然、良く見せようとする外向けの努力は公立よりもぐんと多くなります。
本当に良いのか、見せているだけなのか、見せていないマイナス面はないのか、こういうことも公立よりも、より気になります。
そういう背景もあり、各高校がそれぞれ独自性を打ち出し、何とか中3生やその保護者の心をつかもうとがんばっています。
例えば、「科」や「コース」が多様だったり、部活に力を入れていますね。
私立高校入試制度について最も決定的なことは、その時期が2月になっており、公立がそのあとの3月ということです。
1月の推薦入試である程度新入生を確保しますが、圧倒的多数の受験生が一般入試を受けても、それは併願者で、公立高校に合格すると、その多数の併願者は辞退していきます。
3月になって何人の新入生があるのかはっきりわからない、予想が外れることもある、ということになります。
予想が外れて例年より生徒数が多くなったり少なくなったりすると、次の年にはその調整をしなくてはならなくなります。
以上のことから、不登校または長期欠席をした場合の私立高校入試は、次のことが言えます。
◯1校1校によく方針や実態、また入学後の生徒への対応を聞いたり調べたりする必要がある。
◯長期欠席をした生徒に対して、次の入試ではどんな方針なのか聞く必要がある。(全体の方針が、不登校の生徒に対する対応も変わってきます。)
生徒側からですと、制度がどうかという目で入試制度を見ると思いますが、私立高校の先生は、こんなことを考えています。
◯できるだけ多くの生徒に受験して欲しい
◯3年間ずっと通える生徒に入学して欲しい
◯できれば大学受験などで成果をあげられる生徒に入ってもらいたい
以上の理由から、私立高校側からすると普段選ばれるように努力して受験を促すのだけれど、
不登校の生徒に対しては慎重にならざるを得ない、ということになります。
このあたりは特に気をつける必要があります。
説明会などでは、できるだけ多くの生徒に受験して欲しいので、とても優しい先生が担当したり、優しい対応をされることになります。
そこで受験してみると、入試では受験生一人一人のいろいろな面をよくチェックして、合格か不合格かを決めます。
結果的に、学力は十分なはずの生徒が、不合格だったということが割に良くあるのです。
この場合、つまり通えないだろう、と判断されているのでしょう。
志望校を選ぶときには、受験生は高校の説明会担当者がどんな反応なのかよく見極めて、自分が本当にその高校に求められる生徒かどうかよく考える必要があります。
意外に、だめならだめと言ってくれる先生の方が実は優しい、ということもあり得ます。
一般的な傾向について述べましたので、ここからはより具体的に述べます。
不登校の生徒を受け入れる私立高校は、多くはありませんが、少なくもありません。
分けると3つのタイプになります。
A:制度として公表しているところ
至学館高校、享栄高校、栄徳高校、菊華高校です。
B:公表せず、制度化していて受け入れるところ
C:内申点を合否の資料と(ほとんど)しないところ
Aの多くは推薦入試の形をとっていますから合格したら必ず入学することになります。また、不登校の受験生が集中するので、実はなかなか合格が難しいです。
Bは公表していないので、ここでも高校名は控えますが、やはり受験生は集中します。入試より前の面接を行って、お互いに納得して出願することを決めていきます。
Cは比較的に学力的に難関のところが多くなります。学力さえあれば誰でも入れるよ、という考え方です。
繰り返しますが、私立は毎年方針が変わる可能性があります。
また、ここの情報がすべてではない可能性もあります。
入学したあとのこともよく考える必要がありますね。
全日制ですから、もちろん毎日通って6時間以上の授業を受けることが前提になります。必須の行事などもありクラスでの行動も求められますよね。友人関係が難しくなることもあります。
どんな生徒が集まっているのか、先生たちがどのような方針なのか、カウンセリングなどのサポート体制はあるのかどんなものがあるのか、欠席が多くなったらどうなるのか、どうしてもらえるのか、毎日通うということは気になることが非常に多くなります。
よく考えた上で、今の中学校という環境さえ変われば通える、という場合はやはり全日制に通いましょう。
その私立高校の考え方や制度が自分に合えば、とても幸せな高校生活で、希望の進路に進む生徒もいます。
高校で欠席が多くなるとどうなるの?
中学校と違い、高校では単位を取得することが必要です。
単位とは、一定数[割合]以上各授業に出席して、試験で一定以上の点数を取ることが必要です。
各学年の単位が(高校により1~多数)取れない時には留年することになります。
この場合、日本の高校生は留年することを非常に嫌いますから、たいていは退学または転校することになります。